「旦那、いい加減にしてくれない?うざったいよ。」


「だ、だって佐助・・・一月だぞ?某・・・そんなにも・・・・」



が去った後、めそめそとしながら佐助に「・・・・どうすればいいのだ」と幸村は言っていた。



流石の佐助も厭になってきたのか主に向かって"うざったい"と言うほどだ。

確かに、いつまでもめそめそと隣でキノコを生やし、成長させられては迷惑極まりないが。


「あ、の・・・佐助様・・・」




廊下に育った巨大キノコに驚きながら、申し訳なさそうに佐助を呼んだのは、

先ほどに見張りを頼まれた女中。


本来ならば、自分が佐助の近くにいくべきなのだが、

キノコが背丈ほどまで生長しているため、通れないのだ。


佐助は忍ならではの身のこなしでキノコを飛び越え、女中のそばへ行く。




「どうしたの?」

「えっと、この現状をお聞きしたいのですが・・・」



と、女中は少しずつ成長し量を増やすキノコを指しながら聞いた。

多分、これを見れば何も頼まれてなくとも聞いているだろう。






「あー・・・うん、これね。旦那がさ、お団子我慢できなくて・・・全部食べちゃったのよ。

そしたらさ、ちゃん凄い怒っちゃって、絶対零度の笑顔貼り付けて旦那に

『一月甘味を食べさせない』って言ったわけ。で、ちゃんは怒って居なくなっちゃうし、

旦那はへこんで、俺を巻き込んでキノコを成長させ始めたんだよ。」




この事の事情を知った女中は呆然とする。

怒る理由は理解できるが、一月甘味禁止でここまでへこむ幸村に呆れるしかない。




「そ、それだけですか?」

「うん、それだけ。」

「・・・・・佐助様も大変なことに巻き込まれたようですね。」

「お互い様だよ・・・」




佐助と女中は苦笑を浮かべ、同時に溜息を吐く。




「む?一体・・・これは・・・」



一方信玄は私室で政務をしていたのだが、

畳からじわじわと生えてくるものに筆を止めた。

次第にでかくなっていくもの・・・キノコは一つだけでなく幾つも生えてくる。



「何故、茸がこのように早く生長しておるのだ?」

「お館様!!ってここも?!」





報告に来たのだが、既に手遅れなことに驚いた。



どれだけ早いんだ真田茸(さなだたけ)・・・







「佐助か、一体これは何なのだ?」

「・・・・・・・旦那が原因のキノコですよ。」

「幸村が、か・・・何をやらかしたのだ。」



「ちゃんを怒らせて一月甘味禁止令をくらいましたけど・・・」




「馬鹿者が・・・ゆきむらあぁぁああぁぁぁ!!」



お館様は立ち上がり、幸村のもとへとドスドスと歩いていった。





「これで旦那は大丈夫かな・・・さて、ちゃんのトコ行かなきゃ。」


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