なんとか一命は取り留めたって次の日学校で担任に言われた。

そのことで用事があるから、あとで職員室に来いとも言われた。


もうキミがいないだけで全てが止まってる。

あれ?俺ってこんな脆かったっけ?








職員室に入っていけば、担任と知らないおばさん。でも少しちゃんに似てる。


「猿飛。こちらはのお母さんだ。少し話があるらしいから話して来い。」







それから俺とちゃんのお母さんは中庭のベンチに移動した。



多分この人もずっと泣いてたらしい。目元が赤いから。



「猿飛くんだったかしら?昨日は本当にありがとう。

が、助かったのは猿飛くんが応急手当してくれたらなのよ。

お医者様が迅速な手当てがあったからこそなんとか命を助けれたって。」


「ただ、ほかって置けなかっただけなんで、お礼なんて・・・」

「ううん。猿飛くんのおかげ。よかったら病院、よってくれると嬉しいな。きっとも喜ぶから。」


そう言って帰っていった。俺も戻らなきゃ。





















今日の授業なんて何にも覚えてない。

ずっと、昨日ちゃんを帰したのを悔やんでた。

「佐助・・・某は・・・・佐助が悪いとは思っておらぬ。寧ろよくやったと思う・・・」



「旦那・・・・はは、だけど俺さ、ちゃんに帰れって言ったんだよ?

それさえ言わなければちゃんは教室にいて、笑ってた筈なのに。」



どうしてあのタイミングだったんだろう。

ちゃんじゃなくて俺だったらよかったのに。



「佐助。そんなに悔やむなら殿のところへ行って、謝ってこればよかろう。

多分、殿も佐助の所為とは言わぬはずだ。」



旦那に後押しされる形になって、やっと俺は病院へと向かった。






















目が覚めると白い部屋。

周りはカーテンと窓。

景色は5階ってとこかなぁ・・・。



意識がはっきりしてくると、体のあちこちが痛い。


どうしてだっけ・・・・

記憶をたどれば、帰るときに車が飛んできたのを思い出した。


ああ、事故に巻き込まれちゃったんだ・・・・




「・・・・・・・佐助に会いたいなぁ。明日って言っちゃったじゃん・・・」





そんなタイミングで廊下からのお母さんの声。


『あら、猿飛くん。来てくれたのね・・・?、まだ目を覚ましてなかったから・・・

でも、覚めてるかもしれないから寄っていって?』



『・・・はい。』




ノック音の後に静かにスライドするドア。





「、ちゃん・・・・。」

「佐助、おはよう。あ、時間的にはおかしいけど気にしないでね?寝起きだし。」



「・・・・」




「もー!何なのさ。ぜんぜん元気ないじゃん。お見舞い来たなら元気分けてよ。」



佐助が元気ないと調子狂っちゃうな、いつも飄々としてるくせに。






「ホント、どしたの?」



「ちゃん、昨日はごめん。俺が帰れって言わなければ・・・」




佐助は責任感じてるんだ。

その言葉で私が家に帰ったから。


でもそんな言葉、欲しくないよ。





「さーすーけー。ほら、ここ座って。」



近くの椅子を指差す。










座ったのを見て、動く左手で思いっきり叩いてやった。






「バカ!佐助のバカ!!私はそんな言葉いらないよ!!おはようも返してくれないし、

元気も分けてくれない。あと、私が学校好きなの知ってるなら話してよ!!

ゆっきーは?伊達くんは?チカとかなりーの様子は?!そういうことが聞きたいの!

誰が謝ってなんて言うの?

寧ろ佐助は私を救ってくれたんでしょ?こっちが迷惑かけてごめんって言いたいよ!」






叩いた衝撃とか、声を上げる振動が傷に響いて痛いけどどうでもいい。



ただ、こんな暗い佐助なんてだいっきらい!





「佐助はね、笑ってくれればいいの!わかった?」



叩かれて、声を荒げられて呆然としてる佐助に聞く。



「ごめん・・・・あと、おはよう?」



「おそーい。うん、おはよ。ねぇ、今日はもう聞かないけどさ、明日はゆっきーも連れてきてくれる?

あと、伊達くんとかの様子も持ってきて、ね?」



「はいはい、わがままだねー」


「相手が佐助だもーん。」



そのあと少し笑って、佐助は家に帰っていった。



私も、まだ体が痛いからまた眠った。





次も目が覚めてすぐに誰かが来るといいな。



赤い回旋灯が止まって私は救われる。


(07.12.29)