ちょうど単独での任務だった。


余裕でアクマを破壊して帰還する。


そんな決められた任務の筋書きを壊したのは誰でもない




私の目の前に立っている人物。














それは、少し前だった。



アクマを破壊し終えイノセンスの発動を止めた矢先に殺気を感じ取り、その方向を向いた。





そこに居たのは黒髪をうねらせ(所謂天パだ。)正装にシルクハットを被った紳士気取りの男性。


見た目は20代かしら?














「誰?ここに居ることからしてあなた・・・一般人ではないでしょう?」


「そう?俺はごく普通のおにーさんだけど?」

「・・・千年伯爵の見方のようね。名前は?」



「(無視?)・・・ティキだよ。ティキ・ミック。」







ティキはにっこりと微笑んだ。

その笑みは悔しいほどに絵になっている











「お嬢さんは・・・リリア・シャセリーか?」










ティキは一枚のカードを取り出し、名前をあげた。

同じエクソシストの名前を。






「そう、だと言ったらどうする気かしら?」








「殺させてもらうよ。」


ティキは言葉と同時に私の喉元を掴み逃げることを阻止した。














近くで見れば見るだけ綺麗な顔をしていて、思わず笑みが零れてしまった



「ふふ、あはは・・・」



ティキは不可解そうに顔を顰めたが、もう一度その言葉を繰り返す







「キミはリリア・シャセリーか?」







「どうかしらね。殺されたくもないし、味方を危険にも晒したくないのよ」







簡単にはぐらかしてみた。


実際喉をつかまれているからそんな冗談を言ってる場合ではない












「殺すの?」


「どうだろうな。立場がわかっちゃいない。」




「それはあなたも同じよ、ティキ?私はいつでも武器を発動できるわ?」







「それもそうだな。ホント、殺すのが惜しいんだけど、教えてくれないわけ?」



























いい加減はぐらかすのはやめようかしら。






「。」


「え?」

「私の名前よ。。」





「意味は・・・悲しい小鳥か?」


「あら、よくわかったのね。学無さそうなのに。」

「・・・・・・・。」






紳士気取りのあなたはいかにも図星です。というように黙り込んでしまった。


本当に図星だったの?






「・・・殺す?殺さない?」









「殺さねぇよ。ただし・・・命の代わりに心を貰っていきたいところだな。」








真面目な顔で言ったのは一種の告白にも取れるような台詞



あぁ、彼になら心を持っていかれても構わないかもしれないわ。


だって・・・









「もう持っていかれてる。」
((悲しい小鳥は敵を好きになるの。))


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