「ああ・・・皆さん凄いことになってますね・・・」

「ホント・・・何これ、戦場並みに酷い屍?」







襖を開けて佇む男女。

一人は忍の格好をしていて、もう一人は少し高価な着物である。











「佐助さん・・・」


「・・・・うん。ちゃんの言いたいことはよーく分かるよ。俺様も。」










山のように重なっている酔いつぶれた兵士たちの何処に主たちがいるのか。


探すには何処に足を置いていいのか。

それすらも分からない。






何しろ、人が転がっているし、御膳や酒瓶、徳利なども隙間を埋めるように転がっている。

























「本当に、いるんですよね・・・・?」

「いる、はず・・・・部屋には居なかったしね、旦那も大将も。」





「そうですね。とりあえず、皆さんを涼しい場所に移動させて酔いを醒まします?

それとも、部屋に運んで寝かせますか?」




「適当に廊下に捨てといて大丈夫だと思うよ。」





とりあえずやることが決まり、お互い顔を見合わせ頷いた。






「「じゃあ、始めますか。」」









それからというもの、一人一人廊下に運び出していくが、

無礼講ということで足軽までいたものだから人数が素晴らしく多い。




これまで何人運んだのかもわからない。



あと山が一つになっても幸村も信玄も見つからない。

















「この、山ですね。」



「そうだねー・・・・あ、これ旦那の鉢巻だ。いるいる、下のほうで寝てるよ。」











山を眺めながら、佐助は幸村がいることを確認した。

そして、また一人、また一人と運び出されていく。







運び出しを始めて一刻近く使ってやっと全員運び終えた。




が、まだ大事な作業があったのだ。













「佐助さん、どうしましょう・・・!」


「?どうしたの?」





「畳が・・・全部凄いことになってるんです。とりあえずは濡れた手拭いで拭かなきゃっ!」



酒や食べ物がそこら中に染みを作っている。


どちらにしても畳をかえなければいけないのだが、このままでは更に困る。


変えるにも掃除が必要なのだ。

そこからまたと佐助の掃除は再開された。



























「や、やっと終わった・・・・」

「お疲れ様、さてちゃん行こうか。」


「?どこへ・・・・・・きゃ!」






終わった、と溜息をついたら直ぐに身体は浮いていた。



佐助さんの顔がやけに近くて、横になっている状態、ということは姫抱きされているということ。











「さ、佐助さん!!降ろしてください!!というか何処へ?!」

「一緒のほうが温かいでしょー?何処って、神社。初詣に行くの約束しただろ?」




「あ・・・・しましたね。で、でも歩いて行けばいいじゃないですか!恥ずかしいですよ!!」











の講義を悉く無視して、近場の神社へと走っていく。

ここで暴れると落ちてしまう危険性があるのをは理解して、大人しく腕に収まっている。

頭を佐助に寄せれば、とくん、とくん。と鼓動を聞ける。





安心する。この温かさも、音も、全て・・・








「はい、到着。」



降りたのは神社の鳥居前。

やっぱり着いたら降ろされるのが自然で、少しだけ寂しく思った。





「・・・佐助さん。」

「何?」




「そ、その・・・・・・・・・・・・手、繋いでてもいいですか?」





少しだけ、繋がっていたいと思うし・・・

こういうときは少し甘えたいと思うんです。






「もちろん。はい。」



「ふふ、じゃあお願い、しに行きましょう?」


「そうだね。」







神様に願うのはこの手が離れなくていいように。








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きっと武田の新年とかはいろいろ騒いで潰れて、オカン・・・佐助が片すのでしょう。
そうだと思ってます。 信 じ て ま す 

A HAPPY NEW YERA!!
今年も、よろしくお願いします!

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