「ネズミ、皆で日の出でも見に行かない?」




いきなり夜に馬鹿なことを言い出すのは、俺が拾ってきた(というか助けてきた)馬鹿。

この寒い月の夜に外に行こうなんてどうかしてる。




「ネズミ?聞いてる?」

「・・・馬鹿だよな、紫苑って。」


「な!いきなり馬鹿はないだろ?!」

「いや、馬鹿だ。この寒いときになんで外なんだ。」


「今日は元旦だからだよ!じゃあいいよ、イヌカシとさんと行くから。」




そういうと紫苑はに貰ったコートとマフラーをして、外に出て行った。



しっかりと、来たくなったら来るといいよ、イヌカシのとこだから。と言っていった。





「今日が元旦なのは知ってるけど・・・・見る必要あるか?」




別に日の出とかは、はっきり言って興味ない。

しかし、がいるのが気になる。


ネズミ自身が好きだから、気になるのは当たり前だが・・・


イヌカシや紫苑(こいつは気持ちに気付いてないけど)ものことが好きだ。


所謂ライバル関係。


今、行かなかった所為でどちらかがくっつくのも面白くない。

「・・・行くか。」
















コンコン・・・と扉が鳴る。


「はーい。誰ー?」


「紫苑です、入ってもいいですか?」

「んー、いいけど足もと気をつけてねー。散らかってるからー」





普段なら自分で扉を開けるのだけど、仕事してるとそれすら面倒になってしまう。

だからこそ、それなりに信用してる人は開けて勝手に入って来いと言ってしまうのだが。




「あ、仕事中だったんだ・・・?邪魔かな?」



紫苑は優しい。こういうところで気を使ってくれるから。

ネズミやイヌカシは気にしないだろうな。特に前者の人。



「別に大丈夫よ。もう少しで終わるから。そこらへんに座っててー?」

「うん。」






仕事は情報を集め売る事。簡単に言えば情報屋。

イヌカシもそれなりに情報屋をしてるけど、犬のことを思ってか仕事を選ぶ。


それに変わって私の場合は、頼まれればやる。選ぶことをしない。

唯一受けないのは、自身の命を売る事と矯正施設への侵入くらい。




「よし、終わった!で、どうしたの?こんな夜中に・・・あ、ネズミとケンカでもした?」


「皆で日の出見に行こうかなって。ほら、今日は元旦だし。」


「なるほど、で1人なのは?ホントにケンカ?」

「馬鹿だって言われて、断られた。」




馬鹿って・・・ネズミは面倒なこととか嫌いそうだもんね。

仕方ないか。



「あはは、大丈夫。私は行くから。」

「ありがとう、さん。」


「じゃあ行こっか、イヌカシの所でいいんだよね?」

「うん。」
















イヌカシのとこへ行けばイヌカシは犬達と寄り添っていた。



「・・・温かそうね、イヌカシ・・・」


「達か・・・じゃあその辺に座れば他の犬が来るよ。」


と紫苑はなるべくイヌカシの犬が集まっている近くに座った。


やはりイヌカシが言ったように犬もしっかりと寄り添ってくれる。



「うわー、あったかいー・・・・いいな、これからはティスタと寝ようかしら。」



隣にいる犬を抱きしめながらも零す。










「それはやめとけ。」


「あれ?ネズミは来ないと思ってたのに。」

「最初は来るつもりなかったけどな・・・」


「そっか。で、どうして?」

「あんな大きい狼と寝たら食われるぞ」



「むー、ティスタはいい子だもんね。そうだ、ネズミに仕事のこと話したいから外、行かない?」



彼女の誘いでなければ、寒いなか外になんか行かない。

でもこれは二人になれるから、少しの間寒さは我慢だ。




























「ふふ、ネズミは今年の抱負、何にするの?」





二人しかいない場所に来るとは笑って言う。


「生き残ること?(ホントならを手に入れたい。)」



「んー、確かにこのブロックではそれが当たり前か・・・」




ここでは人が死ぬのは当たり前。

餓死とか、病気とか、殺されたりするのは日常茶飯事。


だからこそ人は生き残るためにあらゆる手段を使い、生きるのに必要なものを得る。




「じゃあ、はどうなんだ?」


「えーっとね・・・・・・あ、」




迷い、視線を廻らせ一点で止まる。

丁度、日の出が始まって、全てを照らし出す。



「綺麗・・・この世界で新しい年が迎えれてよかった。ね、そうだよね?」

「多分。」




この世界で新たを見た





「ネズミ。」




顔を向けた瞬間に奪われた熱。


その行為を理解すれば自然と熱が上がっていく。


「年明けにキスするなんて習慣なかったよな?」

「うん。ないよ?」



だけどね、と付け足してはまた日の出の続きに顔を向けた。

その横顔はこの汚い世界に置いておくには綺麗すぎる気がして、でも手放したくなくて。




「私の今年の抱負は、ネズミを手に入れること。ねぇ、私の抱負叶えてくれない?」



「それなりの代価をくれるならな。」

ネズミはの腕をひっぱり自分の腕の中に抱き込んで、視線を交える。

「いくらでもあげるよ。」

そしてまたキスをひとつ落とした。







-------------------------------------------------------------------------------
チュー様の年ですよ!
今年はネズミが活躍ですよ!
チュー様最高!です!!

A HAPPY NEW YERA!!
今年も、よろしくお願いします!

back







何本か書いていて、どうやら私はキスで閉めるのが好きみたいです(死