白銀世界に置き去りにされた玩具 最近見つけた、あの少女ってか玩具が欲しい。 たまたま歩いて帰ってた時に、見つけたあの世界と同化したような白。 まだ開発が進んでなくて何もない、ただの雪が積もった雪原に、 腰まで伸ばした白い髪を遊ばせながら、佇んでいた。 俺はそれを赤に染めてやりたい衝動が顔を出すのに、 ただ手元に置いておきたいとも思った。 「何してんの?」 「誰……?」 今日も見つけた俺の玩具。 それが振り向いて見えるすらっとした顔に、くりっとした眼、冷えて軽く染まった頬、それに柔らかそうな唇。 まるで玩具の人形が生きてるみたい。 全て俺のモノにしてやりたい。 俺に手に入らないものはないから。 「アンタ何て言うの?」 「?…。キミは?」 「ベルフェゴール。」 「じゃあ、ベルでいいかな。それでどうしたの?こんな何もないところに」 くすくすと笑う声も透き通っていて、直接響いてくる。 それに近づいて白い髪じゃないことを知った。 それはヴァーリアの、スクアーロと同じ銀色。 ちょっとだけ、同じ色のアイツがむかつく。 でも自分と真逆なのも、少しおもしろい。 「別にー、ただ通り掛かっただけ。」 「そうなんだ。」 「ねぇ、アンタをもらうよ。」 笑みを携えたまま、の顎を掴む。 触れた肌が柔らかい。 全てが欲しい。 俺だけのものに。 「もらってくれるの?私、捨てられたようなどうしようもない女だよ?」 「何それ?俺が気に入ったからもらうだけだよ。てかアンタに拒否権はないよ、俺、王子だし。」 「うん、いいよ、キミが望むならあげる。」 あんまりにも簡単に手に入ったのはつまんないけど、 なんかうれしい。 多分アンタが俺のモノになったからだよ、。 私は親に捨てられた。 恋人にも、捨てられた。 だからこそ誰かがほめてくれた、この髪と同じ白銀を見に来ていたの。 誰かが見つけてくれればいいって思ってた。 そしたらね、キミが見つけてくれたんだ。 私とは逆の輝きの髪をしてるキミが。 ただ必要としてくれて嬉しかったんだよ、ベル… (月の光に晒された寂しき玩具は持ち主を探す) back