「じゃあさもう戻ってくるの?」


「どうしましょうね。言ったことは守りたい気もするんですが。」


「できれば・・・戻って欲しいな。上田城がきのこ城になる前に。」



思い出したかのように苦笑いを浮かべ、頬をかく佐助





「きのこ城ですか・・・?」

「そー、旦那が凄いきのこ生やしちゃってさ。

まぁ、大将がなんとかしてくれたとは思うけど。」








ほのぼのと店の前の腰掛に座っていると、前方から砂煙が来るのが見えた。


「殿おぉぉぉ!!」


また、今回も綺麗な止まりっぷりを披露した幸村はの顔を見るなり






土下座をした。







「え、ちょっと幸村さん?!」

仮にも店前で城下の人の視線もある。






「殿!その、すまなかった!某は・・・きちんと了承したにも関わらず

食べてしまい、殿や佐助の分まで・・・・

もちろん、甘味は食べないと約束するでござる。

だから・・・戻ってきてはくれぬだろうか・・・?」



「幸村さん。」


「な、何でござむっ」




にっこりと笑顔で幸村の口に団子を押し込んだ。




「こちらこそ申し訳ございませんでした。そんな怒るくらいなら、皿を分ければいいのに、

一緒にした私も悪かったんですから。お相子ということにしましょう?

あと、甘味は三日にします。ただし、またこのようなことがあれば一月ですよ?」



「わ、わかったでござる!」



そうして、甲斐のきのこ事件は終焉を向かえたらしい。






その後、幸村がまたつまい食いをしたのかどうかは別の話。