*理由なんて幾らでも作り出せる。* あれから何度も毎日のように買いに行った。 でも俺様から旦那に行かせてほしいだなんて言えない。 だって理由がただ、ちゃんに会いたいからなんて言えないでしょ? だから毎日、旦那が団子を食べたいって言って使われるのを待ってる。 「佐助ー」 「何?旦那」 「いつもの団子買って来てはくれぬか?」 ほら、きた。 これで今日もちゃんに会える。 「いいよ。また20本でいいんだよね?」 「あぁ!」 「じゃあ行ってくるね」 城を出て、城下町に向かう。 少しでも早く会いたい、声が聞きたいから自然と速度は上がる。 城下町の入り口で一度止まり、今度は歩き出す。 これで何日目でしょうか? 不思議になるくらい毎日、佐助様は団子を買いに来てくださっていた。 もちろん私が作っている団子を買ってくださるのは嬉しいのですが、そんなにも誰が食べてくださっているのか不思議です。 ほら、今日もまた来てくださいました。 「いらっしゃいませ、佐助様!」 「またいつもの団子20本お願い」 はくすくすと笑いながらも団子を包みにかかる。 毎日20本も団子を買っていくなんて不思議でしょうがないだろう。 笑うを見て佐助は苦笑した。 俺様、毎日会えるのは嬉しいけど全部俺様が食べてるって思われてたらどうしよう・・・ 俺様は食べても1本か2本で、他は全部真田の旦那が食べてるんだよ? だから俺様は大食いでも変人でもないからね! いくら思っても言葉にしてないから分かるわけないし、そんなことを相手が思っているかも分からない。 「佐助様もいつも大変ですね。ほら、あの方でしょう?あの赤い・・・えっと真田幸村様でしたっけ? あの方は甘味好きだとお聞きしておりますし、真田様は佐助様の主だともお聞きしております。」 ちょっとビックリした。 いくら甲斐の城下町で名前が知れていても、甘味好きだと知れているなんて思いもしていなかった。 「そうなんだよねー。旦那がここの団子大好きでさ。あ、もちろん俺様も好きだけどね」 「うわぁ、それは嬉しいです!そう言ってもらえると作りがいがあります!今日は気分がいいので秘密でおまけさせてもらいますね!」 ちゃんはそう言って団子をおまけしてくれているが、大丈夫なんだろうか 一応、お店の物なんだしさ。 「・・・って、この団子、ちゃんが作ってるの?」 「はい。1年ほど前から作らせていただいてるんです。」 前買っていたとこの人が言っていた20歳にもならない子が作る団子ってこれだったんだ。 「そうだったんだ。じゃあきっと又明日も来るよ。旦那がきっと食べたいって言うはずだし。」 佐助が帰ることを告げるとはにっこりと微笑んで「お待ちしております。」と言った。 その笑顔だけで鼓動が早くなるから不思議だ。 佐助が去った後、表を他の人に頼んで厨房へと入った。 厨房には朝準備した団子があり、それを焼き、たれをつける作業を始める 「あら?また今日もいっぱい売れたみたいだねぇ、」 作業をしていると後ろから声がかかり、振り向くと少し体格のいい女性がいる。 店の店主であり、の母の妹。 そして今、がお世話になっている人、母のような存在。 「由乃さん!!今日も佐助様がいっぱい買ってくださったのですよ。」 「あらあら、いつも凄いわねぇ。佐助様が全部食べてるとしたら驚きだけど」 「きっと主の真田様が甘味好きだから、真田様の使いだと思うのだけど・・・」 「そうね。とりあえず、頑張って売ってね。」 「はい!!」 由乃はの応援をすると仕事に戻っていった。 由乃さんは凄くいい人で、普段から私の心配や応援もしてくれる。 お母様がいなくても笑っていられるのはきっと由乃さんが優しいからだと思う。 由乃の後姿を見送り、も作業を再開した 私は毎日、貴方が買いに来てくれるのを今か、今かと待ちわびる癖が少しずつ付いてきてしまいました。 おまけって言うのは単なる理由で、本音は貴方に食べてほしいだけなんですよ。 だから試作品の秘密商品を差し上げてしまうのです。 (甘い華が二輪...)