「・・・・また、今日だよ・・・・・・・いつ過去になるんだろうねぇ」

「クゥゥーン・・・・・・」




気が合いすぎない他人と友人ごっこ











お祭りまで、あと3日だって聞いた。

もちろん、お客さんにだけど。




どんどん祭りにいけるという楽しみと、思い出が重なり始めるという微妙な心中。


ああ、本当に心中してやりたいよね、?










「で、。あのおにーさんは寝てるの?」

「ワンッ」

「よし、勢いつけたまま飛び乗って起こして差し上げて。もちろん夢吉には駄目だよ。」




パンッと手を叩き、目覚ましを客室に走らせた。







今日はいつもより寒い。あの例の桜も散りかけ。そして、他の白も散ってる。


「今日は中でいいけど、暖をとっておかないとね。」





雪だろうと休まないのは、ちょっとした方針ってか意地?

だって好きで始めたんだから、こんな日でもやれるんだっていう・・・ね?























一方、慶次のいる客室では呑気な青年一人・・・・


少し開いた襖から入ったは、助走をつけて慶次の腹部に狙いを定める。

定まったところで軽やかに走り、飛び乗った。






「ぐえぁっ」


カエルのような奇声を出した慶次は腹部を押さえ、苦しみ悶える。




「い・・・・いでぇ・・・・・・・・・・・」

その様子を見たは鼻を鳴らし、そのまま夢吉を乗せての元へと戻った。















「あ、・・・おつかれさま。夢吉、おはよう。」

「キッ」



暖をとるための薪を用意している梨瑚のところへ行くと、2匹は団子をもらった。

団子を渡したは着々と薪を組んで、暖をとり始める。
































「ちゃん、いるかい?」


「はーい、いますよー。あ、藤兵衛(とうべえ)さん・・・・・お久しぶりです。毎年、来てくださらなくとも・・・」


外に出れば30代に入ったくらいの優しそうな笑みをしている男性。





「いんやぁ、ちゃんに会うのも一つの楽しみだしなぁ。譲れんよ。」

「あははははっ、それはどうも。でも、今年はもう終わりなんだよね、"おみざくら"」




2人して狂い桜を見て溜息をする。

誰も知っていない2人だけの桜の話しを思い浮かべて。









「しゃーないやつだ。俺の来るのすら待てんと逃げおって・・・。そういえば、あれからはどうだ?」


「そういった男性はいないですよーだ。期待を裏切りますが。」

「嘘付きは相変わらずか。街の奴が言ってたぞ?男が出来てたって」



「まさか。あー、居候じゃないですか、それ。、呼んできて。」


半分期待を込めた視線を投げかけられるも、さらりと否定をしてその元凶を呼ぶ。









「・・・・よくも朝は・・・・」


「藤兵衛さん、このおにーさん。前田慶次っていうんだよ。」

「ふむ・・・やっぱり付き合ってるのじゃないか?」





「うーん、なんか、友達みたい。」

「そうそう。まるで犬猿の仲っていうか?」





「あれ、おにーさん・・・それじゃあ友達全否定じゃん。敵対してるよ。」





「はははっ。友達ごっこってか。

まぁ、ちゃんの流れはそんなもんだな。さて、そろそろ行くよ。桜、見れたしな。」





徳兵衛はの頭を撫でると、もう一度雪と散る桜を見る。

それは愛しいものを見るように。






「あ、じゃあ持っていってくださいよ。これ・・・・」


団子を包み渡して、握手をする。




「ありがとう。ちゃん、また来年。何かあればおいで。」


「はーい。」





















・・・・・・正直、何が何だかわからないな・・・

話し、全部聞いてたけど"おみざくら"とかもわかんないし・・・

それなりに好きになりかけてるのに、否定されるし。

でも、やっぱりも何か過去にあったんだろうなぁ・・・

あの話しぶり。






聞いてみていいのかすら分からなくて、俺はただ桜を見てるを見るしかなかった。





少しだけ・・・・にあの人を被せて。







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二人は互いを通して過去の人を見る。
だけど過去と違うことに少しの戸惑いと恋心。
祭り、早く行こうぜ。