「夢吉・・・腹減ったな・・・・」

「キキ・・・ッ」



ようこそ、からかい甲斐のあるおにーさん!











街道を歩く影一つ。

派手な格好をして、大きな長剣を担いでいる。

その逆肩には小猿。



「なぁ、全然なんも無いぜ?夢吉どうする・・・」


っつっても、前の町までは結構な距離あるし、この先に掛けるべきか・・・?

とりあえず、何か食いたい。


腹が空いて仕方が無い。




ぐぅぅ・・・と盛大な音を出して、食料を要求してくるし・・・




はぁ、とため息をつくとくすくすと笑い声が聞こえた。







「こんにちは?」


「お嬢さんいつからそこに?」


「たった今ね。」




ホントは少し前。


この歌舞伎っぽい服装のおにーさんが悩み始めたくらいなんだけど。







「キッ!!」


「うわっ、あ・・・かわいい猿ー。ん?甘い匂いでもした?」




小猿はアタシの手の匂いを必死に嗅いでる。


くすぐったいよ。







「それで、おにーさん何悩んでたの?」


「あー、腹が減っててさ。この辺に村とか茶屋ない?」


「うん、無いよ。」






間髪いれずに返してあげるとおにーさんへこんでるみたい。


面白いなぁ・・・






「嘘。こっから5分くらいのとこにアタシの茶屋はあるよ。」

「マジ!?」



「これはホント。」





おにーさんをからかってるうちに、おにーさんの後ろのほうから走ってくる何か。


何か、は分かってるからあえて何も言わない。


さぁ、やっちゃって!













「ぐはっ!」




「お帰りー。早かったね。」


はアタシが飼ってる黒の狼。


言うこと聞いてくれるし、番犬みたいだし、大好きなんだよね。


それがお使いから帰ってきて、おにーさんを突き倒したってこと。









「、帰ろうか。おにーさん来るなら早く来てね。

残り少ないから、早くしないと作るの待つ羽目になるよ。」






謝りなんてしないよ。武士があれくらい避けれて当然だもの。






















お茶の準備をしてたら、やっとおにーさんが来た。


「いらっしゃい、やっぱり来たんだね。おチビさんはこっちおいで。」


小猿に向かって手招きして、寄ってきたから団子をあげる。

やっぱりお腹減ってたらしく、一生懸命食べてる。


ああ・・・やっぱ可愛い!!








「え、俺には?」

「何本?」



「10本で。」


「はーい。」







お茶と一緒に団子を出した。


もちろん、そのあとはおチビさんに団子をあげるけどね!






「それで、おにーさん名前は?そんななりだから有名なんじゃない?」



「俺は前田慶次だよ。その猿は夢吉。お嬢さんは?」



前田・・・は分かるけど・・・・慶次?あの、慶次か。







「私は。この狼は。前田慶次か・・・・・・会えて嬉しいなぁ。」




「それホント?」







「嘘。恋を説いてる歌舞伎役者に興味はないのー。こっちのおチビさんは会えて嬉しいけど。」




夢吉可愛いから欲しいなぁ。



も好きだけど、夢吉もいいな・・・






「慶次、夢吉ちょーだい?」





「だーめ。俺の相棒だから。そういえばこの先の村までどのくらい?」




「半日ってところかな。たぶん途中の森で迷うよ、今から行くと。」




あ、信じてない。


からかってたから、また嘘だと思ってるんだ。







「嘘だと思うなら行けば?ただし助けないけどね。」




「・・・戻るのもなぁ・・・・・・宿はないの?」




「残念ながら、この辺で人住んでるのアタシだけなんで。あとは見てのとおり原か林。」




「・・・・・・・・・・・・・・泊めてくれない?」


「夢吉くれるなら。」







冗談だけど、ホントにくれないかな。





「それは無理!でも他になんでもするよ!」


「よし、じゃあ今から村に行きな。」



「えぇぇっ?!」




「冗談。いいよ、だけど今度ある祭りに行きたいな!!」










とりあえずは今日の夜は楽しそうだ!!







------------------------------------------------------------
ヘィ、慶次連載だぜ!
お馬鹿なノリで行くつもりです。